紅キ雪(中編)
かれこれ数ヶ月・・・男がなんだかんだで色々と世話を焼いていた事もあり、
いまや少女はそこそこ狩りを行える程度には成長していた
少女が男に懐いた感じではあったのだが、意外だったのは男も特に少女を拒まなかった事だ
まぁ・・・少女に強引なところは多々見受けられたのだが
少女:こーが!こっちこっちー!
こーが:(・ω・)!
その元気な声に反応し、『こーが』と呼ばれた存在は嬉しそうに少女の下へ駆け寄った
こーが:(((*・ω・)
少女:こーが、いいこいいこ
こーが:(*=ω=)♪
男:・・・おい雪灯・・・いい加減、その犬に俺の名を付けるのをやめろ
少女の背後から、別の存在がそう声をかけた
雪灯:えー?こーがはこーが、紅牙は紅牙でしょ?ぜんぜん違うよ?
ネームプレートに書かれた『こーが』の文字を指差し、雪灯は抗議する
紅牙:読者はそうだが、呼ばれている俺には違いがわからん
雪灯:あ、それより紅牙!例の話、どうだったの?
紅牙:・・・?・・・ああ・・・仕事の件か
話をはぐらかされた事には気付かず、紅牙は預かってきた資料を雪灯に手渡した
紅牙:トンカで大規模な調査班の募集があるらしい・・・
ただ、こういうのは大概リング管理局が行っているのだと思うが・・・
雪灯:おぉー、すごいね!あたしアクロニア以外でのお仕事なんて今までなかったよ!
色々と考え込み、警戒する紅牙に対し、雪灯はお気楽なノリで答える
紅牙:お前の場合、仕事が無かったのは『クエスト受注ましーん』を使えなかったからだろう
雪灯:紅牙、いつまでもしつこーいε=(`・ε・´)プー
こーが:ε=(`・ε・´)
紅牙:・・・くだらん顔文字はやめろ。その犬が真似をする
雪灯:ちぇー
紅牙:・・・そもそも・・・おまえはなぜ転職しないのだ?ブリーダーなどでは戦闘用のスキルも揃わんし、
転職後に覚えたスキルもブリーダーで使えると教えただろう
雪灯はレベルこそ上がったが、職に就いていない為に戦闘用スキルは皆無に等しい。
使用スキルといえばもっぱら『ゴー』や『応援』『癒し火』くらいのものである
雪灯:そうなんだけど、あたしはとりあえずこの子と戦ってみたいんだよね
紅牙:なら、レンジャーになればいい
雪灯:だって、2次職にならないと一緒に戦えないんでしょ?ブリーダーだと1次職からでも戦えるんだよ!
アレだ。早く食べたいが為にまだ半生のお好み焼きを無理やりひっくり返す子だ、この子は・・・喩え間違いかもしれないけど
雪灯:でもさ、このクエストって受注可能レベルの制限って無いんだよね
紅牙:ああ、この辺も普通じゃない気がするのだが・・・
雪灯:それじゃ、初めて一緒のクエスト受けれるんだね!がんばろー!(。・ω・)゜ヤー
こーが:(。・ω・)゜
勇ましく拳を振り上げ、気合を入れる雪灯の隣で、紅牙はやれやれといった感じで首を振る
・・・が
その表情は、昔とは若干違う面影を漂わせていた
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